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医療経営最新情報

中医協情報

2013.12.4

中医協情報

平成25年11月6日(水) 第255回中医協の総会資料において医療経済実態調査の通関報告がなされた。それを受けて、平成25年11月20日(水)中医協の総会資料に健康保険組合連合会が「第19回医療経済実態調査結果報告に関する分析」を発表した。

抜粋

○一般病院については国公立を除いて安定的な黒字が続いている。

○国立については前回調査分に比べ約5ポイント減少しているが、今回の調査対象施設数が比較的少数であったため、抽出対象となった施設の特性や外れ値等の影響を受けている可能性がある。公立については年々損益差額率が改善してきており、補助金等を加えた総損益差額率は黒字(2.7%)となる。

○一般診療所・歯科診療所・保険薬局は黒字が安定的に続いており、特に一般診療所(個人)は毎年黒字が増加している。

○一般診療所では開設者別、有床・無床別とも黒字が続いている。

○特に、個人立については有床・無床ともに損益差額率の伸びが大きく、個人立の有床についてはH21年度から5.3ポイント伸びている。

○診療科ごとに損益差額率を見ると、全診療科において黒字である。

○眼科・皮膚科・小児科等が個人・医療法人を通して比較的高い損益差額率となっている。

 

平成25年11月26日

第9回「医療機関等における消費税負担に関する分科会」(平成25 年11 月14 日)

における主な意見

1.「消費者物価への影響」の取扱い

○ 診療側委員からは、

・ 診療報酬本体の改定率の計算式では、従来用いられてきた「消費者物価への影響」では

なく、「消費税率」そのものを用いるべき。

との意見が述べられた。

○ 他方、支払側委員からは、

・ 過去の経験から、物価が消費税率の引き上げ分だけそのまま上がるということは考えにくく、診療報酬に消費税率分を丸々上乗せすることはありえない。

との意見が述べられた。

2.「減価償却費」の取扱い

〇 診療側委員からは、

・ 診療報酬本体の改定率の計算式では、設備投資の消費税負担に関しては、「減価償却費」ではなく、「設備投資額」を用いるべき。

・ 仮に「設備投資額」ではなく、「減価償却費」が用いられることになった場合は、その全額を課税費用扱いとすべきである。

との意見が述べられた。

〇 他方、支払側委員からは、

・ 「設備投資額」を用いることについては、毎年、設備投資の変動が大きいこと等から、「減価償却費」で対応すべき。

との意見が述べられた。

3.その他

・ 消費税対応について、今後も継続的に検証する必要がある。そのためにも消費税対応分の財源について、通常の診療報酬改定財源と明確に分けた形での明示を求めたい。

との意見が述べられた

 

平成25 年11 月27 日 中央社会保険医療協議会支払側及び診療側委員 提出意見

平成26 年度診療報酬改定に関する1 号側(支払側)の基本的考え方

○ わが国の経済・社会情勢は、アベノミクスによる金融緩和政策等により景気や雇用は持ち直しつつあるものの、賃金が伸び悩むなかで物価が上昇傾向にあるなど、国民生活は依然として厳しい状況にある。これまで、国民医療費は経済成長を上回る勢いで伸びており、デフレ不況が長引くなかで急増する医療費負担が国民生活を圧迫し続けてきた。今後は、さらなる少子・高齢化の進展により、現役世代を中心に社会保障負担は一層増加するものと見込まれる。

○ こうしたなかで医療保険財政は、高齢者医療制度に対する支援金・納付金の増加等で危機的な状況に陥っている。一方、医療機関の経営状況は、第19 回医療経済実態調査をみると、病院、診療所、薬局とも安定している。他産業と比較しても、例えば一般診療所(医療法人・無床)は、業種別の利益率比較で上位にある業種と同等の利益率を計上している。

○ また、26 年度からの消費税率引上げに伴って国民の負担が増加するなかで、さらに診療報酬が引上げられ、国民や事業主の保険料負担が一段と増加することになれば、消費や賃金の伸びを大きく抑制し、足もとの経済再生の動きにブレーキをかけることにもなりかねない。

○ 従って、26 年度の診療報酬改定率をプラスとすることは、国民の理解と納得が得られない。これまで賃金・物価の伸びを上回る改定が行われてきていることや、年間1兆円以上の医療費の自然増があることを踏まえるとともに、現下の賃金・物価の動向、保険者の財政状況、医療機関の経営状況等を考慮して改定するという本来あるべき原則に基づいた対応を行うべきである。

○ 併せて、これまでの改定でしばしば行われてきた薬価・特定保険医療材料改定分(引下げ分)を診療報酬本体の引上げに充当するやり方を取り止め、薬価等改定分は国民に還元する必要がある。このため、診療報酬全体では、マイナス改定とすべきである。

○ 加えて、消費税率引上げに伴う診療報酬上の財源規模の算出にあたっては、自由診療に係る設備投資や過剰な設備投資等も考えられるため、消費税負担の中身を精査するとともに、薬価等も含めて消費税率引上げが消費者物価に与える影響を反映すべきである。

○ 26 年度改定にあたっては、限りある財源を効率的かつ効果的に配分することを主眼に、高度急性期から急性期、亜急性期、慢性期に至る病床の役割を明確化したうえで機能に応じた評価を行うとともに、一般病床における長期入院の是正による入院期間の短縮、社会的入院の解消、主治医機能の強化による外来受診の適正化、後発医薬品の使用促進等、全体としての医療費適正化を図ることが重要である。このほか、患者が適正な負担でエビデンスに基づいた医療サービスを受けられるようにするためには、医療技術等における費用対効果評価の試行が必要である。

○ さらに、改定に当たっては、診療報酬改定結果検証部会や調査専門組織の報告書、医療経済実態調査等の結果を考慮することに加え、患者の視点、納得性の観点から、診療報酬体系の簡素・合理化、医療の透明化、ICTの利活用による効果的な適正化も推進すべきである。なお、個別項目に対応する考え方については、今後の審議の進捗状況も踏まえ、改めて意見を提示することとしたい。__

平成26 年度診療報酬改定に関する2 号側(診療側)の基本的考え方

診療報酬プラス改定の必要性

政府が進める社会保障・税一体改革において、消費税増収による財源を社会保障の充実に充てることは国民との約束事項である。国民に提供する安心・安全な医療のさらなる充実・強化のため、「消費税率引き上げ対応分を除き全体(ネット)プラス改定」、「消費税率引き上げ対応分に対する完全な補填」を要求する。

1.消費税率引き上げ対応分を除き、全体(ネット)プラス改定とすること

(1)医療再興、医療の充実・機能強化のための財源を確保すること

今回の医療経済実態調査の結果等から医業機関経営がほとんど改善していないことが明らかになった。直近2回の改定は全体(ネット)プラス改定であったが、いまだにそれまでの厳しい医療費抑制の下で直面した医療崩壊の危機から脱することができていない。このままでは、医療再興、ましてや医療提供体制の機能強化は不可能である。消費税率引き上げ対応分を除いた全体(ネット)プラス改定は必須である。

(2)中小病院、診療所をはじめ地域包括ケアシステムの構築を担う医療機関等へ手厚い配分を行うこと

超高齢社会に対応するために、地域包括ケアシステムの確立は重要課題のひとつである。そしてその中核的機能を担うのは、地域の中小病院や診療所の「かかりつけ医」である。また地域に密着した病院は在宅医療等の後方支援病院としての機能、有床診療所は病院からの早期退院患者の在宅・介護施設への受け渡し機能を担っている。直近の改定は大規模急性期病院中心の配分であった。次期改定では全体的な底上げに加え、中小病院、診療所への十分な評価を要求する。

(3)歯科診療所においても必要な手当を行うこと

歯科においては、国民の生活の質の確保のため、基本診療料や基本的技術料等の評価を行うことで、超高齢社会での役割が果たせる経営基盤強化を求める。

(4)保険薬局においても必要な手当を行うこと

薬局においては、地域に根ざした調剤・在宅業務充実のため、かかりつけ機能の評価とともに、安定した経営基盤の確立を求める。

(5)薬価等引き下げ分は本体改定財源に充当すること

診察、薬剤の支給、処置等は不可分一体であり、その財源を切り分けることは不適当である。医療再興を確実にするためにも、従来どおり薬価引き下げ財源を診療報酬全体の改定財源として活用することを要求する。

2.消費税率8%引き上げにあたっては、医療機関等に負担が生じないように引き上げ対応分に対する完全な補填をすることはもちろん、通常の診療報酬改定とは明確に区分して対応すること

以上

政府は、経済の好循環実現に向けて賃上げの要請を行い、経済界等も前向きである。診療報酬による医療従事者の処遇改善を実現し、これをもって医療界としても経済成長に寄与し、かつ国民が活力を持って働き、安心して過ごせるよう、国民の生命と健康をこれまで以上にしっかりと守っていきたい。