消費税増税への対応策の私論

消費税増税への対応策の私論

一、従来からの要望に変えて新たな要望の提案  

本年4月より消費税が3%増税され8%になりました。来年10月には10%に改正されるとの予測もあり、医療界の各種団体から税制改正の要望が出されています。私は、税制改正や診療報酬の上乗せでの対応に矛盾を感じています。介護報酬の分野では、職員給与の補填のため、報酬に一定率を乗じて介護職員処遇改善加算金を交付しています。私は、これと同様な趣旨にして、消費税対応加算金(仮称)として、一定率(課税仕入れ分に対応した率)を診療報酬の額に加算して支払を受ける対応策を要望したいと思っています。

その財源は国庫金(税金・厚生労働省予算)でまかなうことで、診療報酬の財源とは区別されますので、受け取る医療機関側は診療報酬でなく雑収入で処理できると思います。加算金の交付ですので、社会保険診療の非課税制度を堅持できますし、交付金収入の性格上消費税の対象収入にもなりません。また、少なくなったとはいえ、租税特別措置法26条を選択している医療機関もまだありますが、雑収入(保険外収入)の処理で、税務処理の対応に混乱しません。

従来からの厚生労働省の手法のままで、消費税の引き上げ分を、診療報酬や介護報酬の一部の引き上げで対応していたのでは、医療・介護費用が増加し、結果的には国民や企業が負担する医療・介護保険料や国庫補てん金の増加につながり国民の賛同を得難い状況にあります。

診療報酬の非課税制度から課税制度への税制改正での対応では、解決に時間を要する諸問題が発生しています。また、反対意見も多く出ています。

日本医師会は、社会保険診療報酬等の非課税制度を見直し、非課税制度から仕入税額控除が可能な課税制度に改め、ゼロ税率若しくは軽減税率を適用することで患者負担を増やさないことを要望し、四病院団体協議会は、診療報酬及び介護報酬の非課税を見直し、原則課税に改め、患者・利用者負担への配慮を要望しています。私は、いずれの要望も法律の改正が必要になり、8%への増税時と同様で審議の時間不足を理由に却下されるのでないかとの不安を感じています。また、課税制度の適用は社会保険診療が課税取引となり、平成元年の消費税導入時に、特別な政策的見地から福祉、教育とともに非課税取引とされた趣旨から外れることになります。

 

二、疑問の理由 

その1 診療報酬や介護報酬の一部引き上げ対応策の矛盾点 

厚生労働省の国民向けに公開しているホームページによれば、「公的医療保険でカバーされる医療(社会保険診療)は非課税取引です。したがって、医療機関等が社会保険診療を提供する際に、患者から消費税を受け取ることはありません。」とあります。

その一方で、「〇 厚生労働省が定める診療報酬や薬価等には、医療機関が仕入れ時に負担する消費税が反映されています。 〇 平成26年4月1日から消費税が8%になることに伴い診療報酬の一部が引き上げられています。」とあります。

この内容に矛盾を感じたのは私だけでしょうか、「患者から消費税を受け取ることはありません」と言いながら、診療報酬に、医療機関が負担する消費税を反映させ、一部を引き上げているとコメントしているのです。実際には、消費増税分3%全額と言えないまでも、コスト増への対応分0.63%、薬価等対応分0.73%、合計1.36%引き上げています。この引上げ分は国民の医療費負担増になっています。消費税の医療機関の負担分を医療保険制度で補う方式を選択している限りこの矛盾は解決できないと思っています。

参考までに1.36%の根拠を中医協資料から転載します。経費の率は多分「平成24年度の医療経済実態調査」の内容から分析計上したものと思います。

① 診療報酬本体

 (17.39%(その他課税費用)+4.59%(減価償却費))×3/105 = 0.63%

②薬価改定

  22.55%(医薬品費)×3/105 = 0.64%

③材料価格改定

  3.19%(特定保険医療材料費)×3/105 = 0.09%① 診療報酬本体

 消費税は、収入に対して上乗せするのだから、消費税率8%への引上げに伴う医療機関の経費増分を、診療報酬に転嫁させても、「社会保険診療は非課税取引だ。」と言っていることに矛盾を感じます。「非課税取引」と明言するのであれば、経費増分を診療報酬の引き上げによる対応はできないと思います。それゆえ、医療機関側の負担軽減のため、交付金による対応を要望することにしました。

その2 診療報酬や介護報酬の一部引き上げ対応策の中医協の矛盾点

中医協は、社会保障審議会医療保険部会で示された基本方針を基に、適正な診療報酬の配分について検討する場であります。本年4月の消費税の8%改定に重なったことから、今年の定期の診療報酬改正では、適正な診療報酬の配分の議論もさることながら、医療機関が被る消費税増税に伴う費用負担増への対応策のための財源配分論に多くの時間を割かれていたようです。

昨秋11月に社会保障審議会医療保険部会で示された、「平成26年度診療報酬改定の基本方針」には、「消費税率8%への引上げに伴う対応」も含まれており、それを受けての議論になりますので、診療報酬の適正配分論と財源配分論の両論を審議することになったのでしょう。

厚生労働大臣の今回の診療報酬改正に伴う諮問書の内容も、財源配分論に沿ったものになっています。参考までに、平成26 年1月15 日付の諮問書及び それを受けての中医協総会資料を掲載しました。

(1)「中央社会保険医療協議会宛の厚生労働大臣の諮問書」

平成26年度の診療報酬改定は、以下のとおりとする。

※ ( )内は、消費税率引上げに伴う医療機関等の課税仕入れにかかるコスト増への対応分

1.診療報酬本体

   改定率         +0.73%(+0.63%)

      各科改定率    医科 +0.82%(+0.71%)

                     歯科 +0.99%(+0.87%)

                                            調剤 +0.22%(+0.18%)

2.薬価改定等

            改定率            ▲0.63%(+0.73%)

            薬価改定           ▲0.58%(+0.64%)

            材料価格改定      ▲0.05%(+0.09%)

  なお、別途、後発医薬品の価格設定の見直し、うがい薬のみの処方の保険適用除外などの措置を講ずる。

(2)平成26年1月15日付中医協総会資料

 平成26年度診療報酬改定率(消費税率引上げ対応分)を踏まえた財源配分について

(基本的な考え方についての論点メモ)

1. 平成26年度診療報酬改定率(消費税率引上げ対応分)について

(1)改定率

          全体改定率                    +1.36%(約5600億円)

         診療報酬改定  (本体)+0.63%(約2600億円)

         各科改定率    医科 +0.71%(約2200億円)

                                         歯科 +0.87%(約  200億円)

                                         調剤 +0.18%(約  100億円)

※3科の改定率は、薬剤費、特定保険医療材料費を除いた課税経費率(減価償却分を含む)に応じたものとなっている。

          薬価改定等   +0.73%(約3000億円)

          薬価改定    +0.64%(約2600億円)

          材料価格改定  +0.09%(約  400億円)

 厚生労働大臣の諮問書及び中医協の総会資料を一読しただけで、本年の診療報酬の改定内容を理解できる方はほとんど皆無だと思います。きわめて難解な資料だと思わざるを得ません。「診療報酬の点数表をシンプルなものに」と言われ続けていますが、医療機関が負担する消費税を診療報酬に反映させ、診療報酬の一部の引き上げを行うためには、このような複雑怪奇な改定率で計算することになります。薬価の改定などはまさに今年の改定には反映されても、次回の改正時には薬価の引き下げが行われ全く効果がなくなりそうです。数年後にはこの報酬点数の根拠が不明になり、次世代に混乱を引き継がせることになりかねません。

  また、諮問書から読み取れるのは、今回の改定は、その全額が消費税率引上げ対応分の増額で、医療機関の経費増を考慮すると、実質はマイナス改定になっています。政府はデフレマインドからの脱却を政策課題の第一に掲げています。なのに診療報酬だけは、小泉政権下での、デフレ対応の診療報酬の引き下げと何ら変わりのない診療報酬の改定に矛盾を感じます。私は、こうしたことから中医協の場を本来のあるべき姿に戻し、消費税増税への対応策には、医療保険制度の範疇でなく、別の対応策として国庫金による対応策要望したいと思います。この対応策であれば、財務政策決定の範疇にはいり、中医協での議論の必要が無くなります。中医協は適正な診療報酬の配分の議論の場であってほしいと願っています。

その3 診療報酬や介護報酬の一部引き上げ対応策の医療費増加の矛盾点

昨年11月に発表された平成23年度の国民医療費は38兆5,850億円で、前年度に比べ1兆1,648億円、3.1%の増加とのことです。国民医療費を財源別にみると、公費は14兆8,079億円(構成割合38.4%)、うち国庫金は10兆307億円(同26.0%)、地方は4兆7,772億円(同12.4%)となっています。保険料は18兆7,518億円(同48.6%)、うち事業主は7兆7,964億円(同20.2%)、被保険者は10兆9,555億円(同28.4%)、患者負担は4兆7,416億円(同12.3%)になっています。

国民医療費は毎年1兆円超ペースで増加しており、平成26年度では、自然増と消費税負担増の5,600億円を考慮すると2兆円超の増加になりそうです。その財源ですが、これまでも毎年保険料や患者負担だけではまかないきれず国庫負担に頼ってきました。であれば、従来からの手法を変更して消費税に対応する分については国庫金(税金)で支給してはいかがという結論に達しました。

平成23年度分を例にして、平成26年度の消費税率引き上げに対応した診療報酬改定率(1.36%)で試算して、国民が負担する医療費の増額分を計算すると下記のようになります。消費税増税に対応して国民が負担する医療費がかなりの額で増加しています。

保険料  18兆7,518億円 (48.6%)

患者負担  4兆7,416億円 (12.3%)

計   23兆4,934億円 (60.9%)

23兆4,934億円×1.36%=3,195億円

 

三、まとめ 

平成26年1月8日中医協の総会資料「診療報酬改定率(消費税改定に伴う改定分)について」を基に、医療保険制度での対応策でなく別の対応策(国庫金支給)で試算してみました。

*  シエアは、資料に総医療費に占めるシエアとして掲載されていました。

医科医療費  課税仕入   医薬品+材料費  18.06%

課税仕入   委託費等     24.64%

小  計            42.70%

非課税仕入  人件費等     57.30%

総医療費に占めるシエア 約76%

歯科医療費  課税仕入   医薬品+材料費   7.97%

課税仕入   委託費等     30.20%

小  計            38.17%

非課税仕入  人件費等     61.82%

総医療費に占めるㇱエア 約 7%

調剤医療費  課税仕入   医薬品+材料費  68.35%

課税仕入   委託費等      6.35%

小  計            74.70%

非課税仕入  人件費等     25.20%

総医療費に占めるㇱエア 約17%

上記を基に国庫金支給額合計は下記のようになります。

医科  42.70%(課税仕入率)×3%=1.28%×76%(シエア)×41兆1,764億円=4,005億円

歯科  38.17%(    同    )×3%=1.15%× 7%( 〃 )×41兆1,764億円=  331億円

調剤  74.70%(    同    )×3%=2.24%×17%( 〃 )×41兆1,764億円=1,680億円

合計    6,016億円

 全体改定率  +1.36%(約5600億円)と比較すると416億円増加していますが、医療保険財政を圧迫しておりません。また毎年行われている医療経済実態調査により、課税仕入額の総医療費に占める割合は変更することになりますが、実数値で示されますので複雑にはならないと思っています。

事 業 計 画

―事業計画とは― 

 クライアントの皆様から、寄せられる質問(相談)に、職員・役員給与の昇給(額・時期)や、検査・治療機器の購入(額・時期)に関することや、医療サービスの提供内容の変更に関することなどがあります。単純な回答で済む時もありますが、「慎重に検討したほうが良いのでは」と助言するケースのほうがはるかに多くあります。私の、本年5月26日付当欄でのブログの「質問の大別」で分類すれば、「経営の改善と安定化」の範疇になるからです。昇給に関しても、就業規則に定めてあればすべて解決できるほど単純な問題ではありません。「機器の購入を含む設備投資計画も資金に余裕があれ購入すれば良い。」というほど簡単ではありません。後日過剰投資だと反省させられる事例に何度となく遭遇しているからです。提供内容の変更も、時代の流れや、地域ニーズに対応して変更させていく必要がありますが、後日、流行に翻弄されただけに終わるときもあります。こうした時に、短期と長期の事業計画を立てたうえで、今できることや、計画の中に取り込み条件が整えば実行に移すなど、ある程度分析をしてから実行に移すべきだと思っています。安定的に経営を継続していくことで、経営基盤の拡大に繋げられます。そのためには、事業計画の立案と、柔軟な経営計画への対応が重要です。そして、裏付けになる数値の設定を必要としています。事業計画には、新規開業計画、新規事業参入計画、経営改善計画、経営安定化計画など、目的を主体にした計画や、長期計画・短期計画など、期間を主体にした計画、その組み合わせした計画などたくさんの種類があります。

―事業計画は自院を守る―

 私も若いころから、生意気にも「無計画の計画」などと息巻いて、ハプニングも人生のうちなどと無計画ゆえのトラブルを楽しんできましたが、この年になってくると自分の行動にも慎重になり、何事によらず事前のプランニングを重要視するようになりました。場当たり的行動はのちに必ず後悔の因になることを嫌というほど学習させられたからだと思います。医院経営に事業計画を取り入れている医療機関と、院長(理事長)の先見性と直感に頼っている医療機関とでは、時間の経過とともに、経営規模や安定性に差が出てきているように思います。「十年一日のごとく」といった医療機関経営はありません。私共のクライアントの皆様の医療機関で検証してみても、10年間、収入・利益・来院患者数などにまったく変化が起きなかった医療機関はありません。同じ職員が、同じ人員で10年間過ごせば昇給により人件費の額も大きく膨らんできますし、退職金問題も発生してきます。診療報酬の2年ごとの改定で、保険収入は減少しても増加の期待はできません。医療機器や設備も老朽化し、修繕や交換が必要になります。地域社会も変遷して競合医療機関の出現や、人口構成の変化や移動も起きています。このように自院を取り巻く環境は、内からも外からも日々刻々変化しています。こうした変化を予測して、人員の配置や、設備投資の時期や機種の選定を含む経営計画を立案しておくことが安全経営の源泉になります。経営計画は5年間ぐらいの期間で立案し、一年間経過したら見直しを行い、その後の5年間の計画を立てなす作業必要です。その後は1年ごとの見直しと5年間の計画の立案の繰り返しになります。最初の計画に拘泥したままでは、計画そのものが重荷になります。

雇 用 助 成 金

―医療機関で活用できる助成金や税額控除制度― 

 医療機関では多くの職員を雇用しています。職員を採用する時に、求職者の条件によって雇用助成金の給付や、雇用を継続していくうえで、雇用管理改善を行うことでの助成金の受け取りなど、各種の交付金制度があります。また、助成金とは異なりますが、税金の控除を受けられる制度もあります。当社では、クライアントの皆様に、このような助成金の制度を活用することで、医療・介護事業経営改善にお役に立たせていただいています。もちろん申請書類の作成は当社で行っています。医療機関で活用できる制度に下記のようなものがあります。

1.従業員を新たに雇い入れる場合の助成金 

(1) 特定就職困難者雇用開発助成金

 高年齢者(60歳以上65歳未満)や母子家庭・障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して、賃金相当額の一部が助成されます。

 支 給 額

無題.png26.6.23-1

 

  「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満の人です。                          ただし、支給対象期ごとの支給額は、支給対象期間中に対象労働者に対して支払った賃金額が上限です。 雇入れ事業主が、対象労働者について最低賃金法第7条の最低賃金の減額の特例の許可を受けている場合は、支給対象期について対象労働者に対して支払った賃金に次の助成率を乗じた額(表の支給対象期ごとの支給額を上限とする)となります。

(2) 高年齢者雇用開発特別奨励金 

 雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者をハローワーク等の紹介により、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者として雇い入れる事業主(1年以上継続して雇用することが確実な場合に限る。)に対して、賃金相当額の一部が助成されます。

 支 給 額

1.本奨励金は、対象労働者の類型と企業規模に応じて1人あたり下表の支給額のとおりです。

無題.png26.6.23-2

 

 「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満のひとです。           ただし、支給対象期ごとの支給額は、支給対象期間中に対象労働者に対して支払った賃金額を上限とします。  雇入れ事業主が、対象労働者について最低賃金法第7条の最低賃金の減額の特例の許可を受けている場合は、支給対象期について対象労働者に対して支払った賃金に次の助成率を乗じた額(表の支給対象期ごとの支給額を上限とする)となります。

(3) トライアル雇用奨励金

 職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者について、ハローワークや職業紹介事業者(※)等の紹介により、一定期間試行雇用した場合に助成するものであり、それらの求職者の適性や業務遂行可能性を見極め、求職者および求人者の相互理解を促進すること等を通じて、その早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。
 

主な受給要件

受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。

(1)  対象労働者がハローワーク、地方運輸局(船員となる場合)または職業紹介事業者(以下「ハローワー   ク・紹介事業者等」という。)の職業紹介の日(以下「紹介日」という。)において、次のイ~ニのいずれにも  該当しない者であること。

  イ 安定した職業に就いている者

  ロ 自ら事業を営んでいる者又は役員に就いている者であって、1週間当たりの実働時間が 30 時間以     上の者

  ハ 学校に在籍している者(平成 27 年3月 31 日までの間にあっては、在籍している学校を卒業する日    の属する年度の1月1日を経過している者であって卒業後の就職内定がないものは除く。)

  ニ トライアル雇用期間中の者

(2)  次のイ~ヘのいずれかに該当する者

  イ 紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者

  ロ 紹介日において学校を卒業した日の翌日から当該卒業した日の属する年度の翌年度以降3年以内    である者であって、卒業後安定した職業に就いていないもの

  ハ 紹介日前2年以内に、2回以上離職又は転職を繰り返している者

  ニ 紹介日前において離職している期間が1年を超えている者

  ホ 妊娠、出産又は育児を理由として離職した者であって、紹介日前において安定した職業に就いてい     ない期間(離職前の期間は含めない。)が1年を超えているもの

  ヘ 紹介日において就職支援に当たって特別の配慮を有する次のa~hまでのいずれかに該当する者     (※1)

    a 生活保護受給者

    b 母子家庭の母等

    c 父子家庭の父

    d 日雇労働者

    e 季節労働者

    f 中国残留邦人等永住帰国者

    g ホームレス

    h 住居喪失不安定就労者

(3)  ハローワーク・紹介事業者等に提出された求人に対して、ハローワーク・紹介事業者等の紹介により雇   い入れること

(4)  原則3ヶ月のトライアル雇用をすること

(5)  1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度(30時間(上記(2)d、gまたはhに該当す   る者の場合は20時間)を下回らないこと)であること

  • このほかにも、雇用関係助成金共通の要件などいくつかの受給要件がありますので、詳しくは下記の「お問い合わせ先」までお問い合わせください。

受給額

【支給対象期間】

  1. (1)本奨励金は、支給対象者のトライアル雇用に係る雇入れの日から1か月単位で最長3か月間(以下「支給対象期間」という)を対象として助成が行われます。
  2. (2)本奨励金は、この支給対象期間中の各月の月額の合計額がまとめて1回で支給されます。

【支給額】

  1. (1)本奨励金の支給額は、支給対象者1人につき月額4万円です。
  2. (2)ただし、次のイまたはロの場合、その月分の月額は、それぞれに示す期間中に実際に就労した日数に基づいて次のハによって計算した額となります。

イ 次のa~bのいずれかの場合であって、トライアル雇用に係る雇用期間が1か月に満たない月がある場   合

   a 支給対象者が支給対象期間の途中で離職(次の(a)~(d)のいずれかの理由による離職に限る)した     場合                                                                  離職日の属する月の初日から当該離職日までのトライアル雇用期間中に実際に就労した日数        (a) 本人の責めに帰すべき理由による解雇                                         (b) 本人の都合による退職                                                    (c) 本人の死亡                                                           (d) 天災その他のやむを得ない理由により、事業の継続が不可能になったことによる解雇

   b トライアル雇用の支給対象期間の途中で常用雇用へ移行した場合                          常用雇用への移行日の前日の属する月の初日から当該移行日の前日までのトライアル雇用期間     中に実際に就労した日数

ロ 支給対象者本人の都合による休暇またはトライアル雇用事業主の都合による休業があった場合      その1か月間に実際に就労した日数(ただし年次有給休暇等法令により事業主が労働者に対し付      与を義務付けられている休暇は就労した日数とみなす)

ハ 支給対象期間中のある月において、支給対象者が就労を予定していた日数に対する実際に就労      した日数の割合(A)が次表の左欄の場合、当該月の月額は右欄になります。

無題.png26.6.23-3

 

2.労働時間・賃金・健康確保・勤労者福祉関係の助成金 

(1)中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業種別中小企業団体助成金)

 雇用管理制度(評価・処遇制度、研修体系制度、健康づくり制度)の導入等を行う健康・環境・農林漁業分野等の事業を営む中小企業事業主(以下「重点分野関連事業主」という。)に対して助成するものであり、雇用管理改善を推進し、人材の定着・確保を図ることを目的としています。 このうち介護関連事業主の場合は、介護福祉機器の導入も助成対象となります。

介護関連事業主

[1]評価・処遇制度の導入

[2]研修体系制度の導入

[3]健康づくり制度の導入

[4]介護福祉機器の導入等

受給額

 本助成金(コース)は、導入した制度等に応じて、下表の額が支給されます。

無題.png26.6.23-4

(2)退職金共済制度に係る新規加入等掛金助成新規加入助成 

新しく中退共制度に加入する事業主に

1.掛金月額の2分の1(従業員ごと上限5,000円)を加入後4か月目から1年間、国が助成します。

2.パートタイマー等短時間労働者の特例掛金月額(掛金月額4,000円以下)加入者については、1.に 次の額を上乗せして助成します。

 掛金月額2,000円の場合は300円 3,000円の場合は400円 4,000円の場合は500円

助成金受給のための条件 

受給対象となる事業主

雇用保険適用事業所の事業主

期間内に申請を行う事業主

支給のための審査に協力する事業主

審査への協力の具体例

・審査に必要な書類を整備・保管する。

・都道府県労働局・ハローワーク・(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構から書類の提出を求められたら応じる。

・都道府県労働局・ハローワーク・(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構の実地調査に応じる。 

助成金を受給できない事業主

・不正受給をしてから3年以内に申請をした事業主または、申請日後、支給決定日までの間に不正受給をした事業主

※不正受給とは、偽りその他不正行為により本来受けることのできない給付金を受け、または受けようとすることをいいます。

・支給申請した年度の前年度より前の年度の労働保険料を納入していない事業主

・支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反を行った事業主

・暴力団と関わりのある事業主

・支給申請日、または支給決定日の時点で倒産している事業主

・不正受給を理由に支給決定を取り消された場合に、都道府県労働局が事業主名等を公表することについて、同意していない事業主

税額控除の制度 

雇用促進税制(雇用者の数が増加した場合の税額控除)

この制度は、法人が平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において、当期末の雇用者の数が前期末の雇用者の数に比して5人以上(中小企業者等は2人以上)及び10%以上増加していることについて証明がされるなど一定の場合に、税額控除が認められます。

この制度の適用を受けるためには、次の から までの要件を全て満たしている必要があります。 なお、適用年度開始の日の前日における雇用者数が零である場合には、 の要件は不要となります。

 ①前期及び当期に事業主都合による離職をした雇用者及び高年齢雇用者がいないこと

  (注) 前期とは、当期開始の日前1年以内に開始した各事業年度をいいます。(以下、この「4 適用要件」     において同じです。)

 ②基準雇用者数が5人以上(中小企業者等については2人以上)であること

  (注) 基準雇用者数は、当期末の雇用者の数から適用年度開始の日の前日の雇用者(当期末において     高年齢雇用者に該当する者を除きます。)の数を引いた数です。

 ③基準雇用者割合が10%以上であること

  (注) 基準雇用者割合は、基準雇用者数を適用年度開始の日の前日雇用者(当期末において高年齢雇     用者に該当する者を除きます。)の数で除した数です。

 ④給与等支給額が比較給与等支給額以上であること

  (注1) 給与等支給額とは、当期の所得の金額の計算上損金の額に算入される給与等(雇用者に対して      支給するものに限り、当期末に高年齢雇用者に該当する者に対して支給するものを除きます。)の      支給額をいいます。

  (注2) 比較給与等支給額とは、次の算式により計算した額をいいます。 なお、前期の給与等の支給額      には、当期末に高年齢雇用者に該当する者に対する支給額は含まれません。 前期の給与等の       支給額 + (前期の給与等の支給額×基準雇用者割合×30%) また、適用年度開始の日の前日      における雇用者数が零である場合には、次の算式により計算した額が比較給与等の支給額となり      ます。                                                                  前期の給与等の支給額 + (前期の給与等の支給額×30%)

  (注3) 前期の月数と当期の月数が異なる場合には、所要の調整が必要です。

 ⑤雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業(一定の事業を除きます。)を行っていること

相  続  税

―相続税とは― 

  経営者の方から、「医院の敷地・建物は私が相続して、他の財産は母親と兄弟で分けた場合、この敷地の相続税はいくら払ったら良いのか?」のような質問を時々受けます。相続税の仕組みを良く理解していただかないと、このように少しずれた、回答に苦慮する質問を発することになります。今回は相続税について、相続開始から相続税の申告、財産の取得までを、個別的な条件を省いて、ごくシンプルにまとめてみました。相続は人の死亡によって開始します。その他に民法では、「失踪宣告を受けた者も失踪期間満了の時又は危難が去った時に死亡したものとみなす」という規定がありますので、相続開始の原因になります。また、相続開始の場所は、被相続人(亡くなった方)の死亡の場所です。相続税は、被相続人の個人名義の総財産を算出して、相続人(財産を受け取る権利を有する方、一般的には妻子)民法で定める割合(法定相続分)で相続したとして、相続税の総額を計算します。贈与税のように1,000万円受け取ったから贈与税はいくらになりますよといった単純な計算法では算定できません。各人の相続税は、相続税の総額を、取得した財産額に応じて按分して納付します。相続税の計算の流れは下記のようになります。

(1) 相続によって取得する財産総額の計算と決定

(2) 上記の財産総額を基に相続税の総額の計算

(3) 遺産分割協議書の作成(各人の相続による取得額の決定)

(4) 上記により各人の相続税の申告

(5) 遺産分割協議書を基に、不動産登記や預貯金の解約等により財産の受け取り

―相続人とは―

1、相続人 

 相続人は被相続人と一定の身分関係のある方、即ちその配偶者(内縁関係にあるものは除きます)子、直系尊属、兄弟姉妹で、相続開始時において生存している方です。但し、推定相続人から排除されている方相続人の欠格事由に該当している方相続の放棄をしている方存続人にはなれません。  相続開始の時に相続人となる方が死亡しているときは代襲相続(死亡した方の相続人が相続)になります胎児は、相続においては、既に生まれたものとみなして相続権があります。相続税においては、胎児が申告書提出までに出生していない時は、いないものとして相続税の計算をして、生まれたときに更正の請求をします。

2、相続人の法定順位

  第1順位  子と配偶者

  第2順位  配偶者と直系尊属

  第3順位  配偶者と兄弟姉妹

3、法定相続分

 相続分の指定がないときの共同相続人の相続分は以下のとおりです。

無題.png26.6.16-1

―相続財産とは― 

1、相続財産

 相続により取得したとみなされる財産の主なものは下記のような物です

(1) 生命保険・損害保険の保険金

(2) 退職手当金(中小企業共済の等の死亡一時金を含む)

(3) 生命保険契約に関する権利

(4) 金融機関(信託を含む)の預貯金等

(5) 不動産(権利を含む)

(6) 書画・骨董の類

(7) その他利益の享受等

   * 生命保険金の非課税範囲  500万円×法定相続人の数

      退職金の非課税範囲    500万円×法定相続人の数

2、債務の控除

 相続財産から控除できる債務の主なものは下記のようなものです

(1) 債務    被相続人の確定した債務で、相続開始の時に存在する確実なもの

(2) 公租公課  被相続人に係る未納の所得税、住民税、固定資産税

(3) 葬式費用  葬式費用として控除できるものは

                       ・仮葬式・本葬式に要した費用

          ・葬式に際して施与した金品で、被相続人の職業等に照らして相当のもの

          ・上記以外に通常葬式の前後に生じた通常葬式に伴う出費

          ・葬式費用にならないも

           ① 香典返礼費用(受け取りの香典は相続財産になりません)

           ② 墓碑、墓地等の購入・借入費用

           ③ 法会(初七日等)に要する費用

           ④ 医学上、裁判の特別の処置に要した費用

           ⑤ 社葬等で相続人等以外の方が支払った葬式費用

3、遺産に係る基礎控除額

  基礎控除額=〔3,000万円+(600万円×法定相続人の数)〕

   * 法定相続人の中に相続を放棄した方がいても、基礎控除の計算では人数に入れます。

 ① 相続人に実子がいるときに、養子は一人まで、実子がいないときは、養子のうち二人まで、この算式で   の法定相続人の数に加えることができます。

―相続税の計算とは―

1、相続税の計算

前述の相続税の計算は次の式で計算します。

無題.png26.6.16-2

2、相続税額の諸控除額

 (1)配偶者に対する税額の軽減                                                                                                               簡便的には、相続財産の2分の1以内で1億6千万円以下か、相続財産が1億6千万円以下の場合    は配偶者の納税は軽減(納付額0円)されます。後日、税務調査等で発覚した申告漏れの財産にはこ    の適用がありませんのでご注意ください

 (2)未成年者控除                                                                                                                                        財産の取得者が、20歳未満である方の場合、20歳に達するまでの年数各1年に10万円(不足額が   ある場合はその未成年者の扶養義務者の納税額から控除できます)

 (3)障害者控除                                                                                                                                         相続人が障害者である場合、85歳に達するまでの年数各1年に10万円(特別障碍者は20万円)    (不足額がある場合はその障害者の扶養義務者の納税額から控除できます)

  * 上記(2)(3)の控除額は、平成26年12月31日以前の相続等の場合、10万円は6万円、20万円     は12万円になります。

 (4)相似相続控除                                                                                                                                   被相続人が死亡10年内に相続により財産を取得している場合は、前の相続から次の相続までの期   間を10年から差し引いた年数に前回の相続税額の1/10を乗じた額

 (5)税率                                                                                                                                                      相続税の早霧氷

無題.png26.6.16-3

 

―まとめ― 

 前述のとおり、続税の申告作業を行うには、一番目に財産の評価があります。この財産の評価額計算の解釈本でもかなり分量と厚ささがあります。それだけでは解決できずに、税務署の資産税の担当部署に確認を行うなうことも度々あります。財産を分割する方法でも相続人の経済的な有利不利にとどまらず、二次相続を考慮すると、税法的にも有利不利が発生します。診療科目においても、専門特化した診療科目に分化してきていますように、相続税の申告には、法人税や所得税の申告とは異なり、相当な専門的な知識が必要になります。相続税の申告には相続税専門の税理士(当社と提携しています)に依頼することをお勧めいたします。また、事前に行う相続対策も大事です。当社も相続時の「争族」対策に力入れて各院長先生方にアドバイスと提案を行っています。

診療報酬の改定と経営計画

―改訂の検証― 

  6月に入り、例年であれば4月の診療報酬の改定に伴う病医院経営への影響がそろそろ見えはじめる頃になっています。今回の改定は、消費税の5%から8%増税に対応するため、薬価・検査・手術等の診療報酬に対して、消費税増税分の請求点数への上乗せ改定と、恒例の2年に一回の見直し改定のダブル改定でした。また、別途消費税増税への対応として、病院には千六百億円、診療所には六百億円の財源配分(初診料12点、再診料の3点増額)を行っています。なお、今回の診療報酬改定の概要と傾向及び問題点については、本年3月24日掲載の私の当ブログ欄に掲載しておりますのでご参照ください。

 各医療機関から4月分の収支会計資料が、5月の中旬頃からぼちぼちと当社に届き始め、昨年同月や、前月との収入比較のためデーターの分析を開始しておりますが、診療科目によりかなりばらつきの傾向(院内処方の内科では減収、整形外科では、骨粗鬆症の治療薬の増点の影響もあり院内外の処方に関係なく増収、来院患者数が多く且つ院外処方を多く選択している耳鼻・眼・皮膚科では増収)が出ています。また、支出面では、大半の医療機関において、3月中に日常の消耗品等の買いだめを行っており、比較しても不正確になります。診療科目によっては、来院患者数に季節変動もあります。今年に限って言えば、影響を正確に分析するにはもう少し経過したのちに、数か月分の平均で比較を行うことにいたしました。

―医療業容の変遷―

 今回の改正について巷間では、病院・診療所を問わず在宅療養への行政誘導であるとか、4年後の介護保険とのダブル改正を視野に入れた準備改正などと論議されておりますが、この方向性については今更論じるまでもなく、介護保険の導入時から既定の路線であったと思います。むしろもっと早く、医療業容は、平成に入る頃から外来・入院医療の二本柱から、在宅医療を含めた三本柱医療へと転換をみせ始め、介護保険の導入により、介護サービス事業を含めた四本柱医療業容へと変更路線が決定づけられています。報酬改定毎に増額・減額と一喜一憂するのでなく、ぶれることのない自院のサービス提供の方向性を見定めて、自院のビジョン(急性期検査・慢性期維持期型医療なのか、プライマリー重視型、地域密着ゲートキーパー型などの選択)を明確にしたうえで、現在に行うべきことを淡々とこなし、将来に備えた方向性の計画を確立してこそ、安定的な医院経営の継続を得られるのでないでしょうか。

―改訂と一喜一憂―

 当社が助言しているクライアントの方向性について少しふれておきます。内科系医療機関の、消化器系・循環器系・代謝系の医療機関では、検査重視の医療サービスの提供を薦め、自院の診療機能を超える医療行為が必要な場合や、悪性の場合は近隣の専門病院に紹介し、症状固定後や維持期等慢性期になれば、外来通院治療を行っています。同じ内科系でもプライマリー重視型医療機関では、ゲートキーパーの役割を果たしつつ在宅医療や介護事業を展開しています。先行的に在宅医療に特化した医療機関では、無床診療所でありながら、グループ内に複数の施設(建物等)や、多数の医療・介護事業を展開することで、職員数も100名を越し、勤務医師も複数になっている法人が増えています。その他にも内科系の医療機関の特徴としてケアミックスを選択している法人もあります。それぞれの医療機関の理事長のキャラクターや、ポリッシー、医院の立地条件により、進むべき方向の助言を行った結果、現在の姿になっています。整形系の医療機関ではセラピストによる運動器リハへの特化を薦めた結果、訪問リハビリ、通所リハビリ施設を開設して介護事業を展開する法人が増えています。また、テナント開業の形外科であっても、運動器リハの施設基準を満たしておれば、余ったスペースを活用しての介護分野の短時間の小規模のデイケアを開設してもらっています。眼科系では日帰り手術に積極的に取り組み、白内障や、硝子体手術患者の受け入れのため、手術室を含めた全室のアメニティー改善を薦め、競合する他院との差別化を図っていくことが重要であるとの助言をしてまいりました。今後、病院が短期滞在型手術をてばなす方向をおかれていますので、その受け皿になれれば一層の経営拡大をはかれるものと確信しています。耳鼻科では、慢性期の蓄膿症や花粉症の患者の治療も大事なのですが、増加しつつある、老人性の難聴や、嚥下機能回復への取り組みを薦め、準備として言語聴覚士の採用を助言してきました。今後は、「めまい外来」、などもお薦めする予定です。皮膚科、婦人科なども特徴付けや、独自性を提案してまいりましたが、内容については回を改めて報告します。

―改訂提案の失敗―

 今回の改定に伴う選択の助言を求められて、大失敗をいたしましたので、この報告をしておきます。運動器リハの施設基準の選択の申請の件で、これまで「運動リハⅡ」を届けていた整形外科の医療機関から、「今回の改正で、無床診療所でも『運動器リハⅠ』を選択できるようになったから、『運動器リハⅠ』の選択の届け出を行う。」との相談を受けました。私の不勉強と思い込みによる情報収集不足から、従来の「入院施設のあるところでしか選択できない」ことを確信しており、「不可能です。」と答えていました。ところが、4月の時点で無床診療所でも選択可能であるとの解釈がでていたようで、結果的には2か月間「Ⅱ」で請求していたため、当の医療機関は相当額の減収になったようです。厳しいお叱りを受けました。診療報酬の改定時には、毎回、3月から4月にでてくる、「Q&A」や「疑義解釈」の情報に注意をしており、今回もネット等で確認していたのですが、思い込みによる研究不足で多大な迷惑をおかけすることになりました。今回の反省を生かして、今後とも的確で役立つ助言を行っていけるよう気を引き締めなおしている次第です。

役 員 報 酬

―医療法人の役員の定義―

医療法人の役員とは次のような方をいいます。

1  医療法人の理事、監事及び清算人

2  1以外の方でも、相談役、顧問などで、その法人内における地位、職務等からみて他の役員と同        様に実質的に法人の経営に従事していると認められる方も含まれます。

使用人兼務役員とは 

使用人兼務役員とは、役員のうち分院長、事務長、看護師長、技師長、部長、課長、その他医療法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する人をいいますが、次のような役員は、使用人兼務役員となりません

1 理事長、代表執行役、代表理事及び清算人

2 副理事長、専務理事、常務理事、その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員

3 出資者グループに属する親族関係など特殊な関係のある個人(子弟)

―役員報酬とは―

  医療法人が役員に対して支給する給与(注)の額のうち次に掲げる⒈定期同額給与、⒉事前確定届出給与のいずれにも該当しないものの額は損金(経費)の額に算入されません。
ただし、次に掲げる給与のいずれかに該当するものであっても、不相当に高額な部分の金額は、損金の額に算入されません

(注)なお、上記の給与からは、下記の給与は除かれます

(1)退職給与

(2)以外のもので使用人兼務役員に対して支給する使用人としての職務に対するもの

(3)法人が事実を隠ぺいし又は仮装して経理することによりその役員に対して支給するもの

1 定期同額給与

定期同額給与とは次に掲げる給与です。

(1) その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」といいます。)で、その         事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの

(2) 定期給与の額につき、次に掲げる改定(以下「給与改定」といいます。)がされた場合における

      その事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期       の前日又はその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの

      イ その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月を経過する日までに継続して毎              年所定の時期にされる定期給与の額の改定。ただし、その3か月を経過する日後にされることにつ            いて特別の事情があると認められる場合にはその改定の時期にされたもの

      ロ その事業年度においてその法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重              大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(以下「臨時改定事由」といいます。)によりさ              れたその役員に係る定期給与の額の改定(イに掲げる改定を除きます。)

      ハ その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(以下                「業績悪化改定事由」といいます。)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額            した改定に限られ、イ及びロに掲げる改定を除きます。)

(3)継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるも   の

2 事前確定届出給与

 事前確定届出給与とは、その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定め(以下「事前確定届出給与に関する定め」といいます。)に基づいて支給する給与(1の定期同額給与を除きます。)で、次に掲げる場合に応じてそれぞれ次に定める届出期限までに納税地の所轄税務署長にその事前確定届出給与に関する定めの内容に関する届出をしているものです。
なお、同族会社以外の法人(注)が定期給与を支給しない役員に対して支給する給与については、その届出をする必要はありません。
(注)同族会社に該当するかどうかの判定は、その法人が定期給与を支給しない役員の職務につき、その定めをした日(新設法人にあっては設立の日)の現況によります。

(1)原則
事前確定届出給与に関する定めをした場合は、原則として、次のイ又はロのうちいずれか早い日   (新設法人がその役員のその設立の時に開始する職務についてその定めをした場合にはその設立の   日以後2か月を経過する日。)が届出期限です。

   イ 株主総会、社員総会又はこれらに準ずるもの(以下「株主総会等」といいます。)の決議によりそ      の定めをした場合におけるその決議をした日(その決議をした日が職務の執行を開始する日後で      ある場合にはその開始する日)から1か月を経過する日

   ロ その会計期間開始の日から4か月を経過する日

(2)臨時改定事由により定めをした場合
臨時改定事由によりその臨時改定事由に係る役員の職務について事前確定届出給与に関する定 めをした場合(その役員のその臨時改定事由が生ずる直前の職務について事前確定届出給与に関する定めがある場合を除きます。)は、次に掲げる日のうちいずれか遅い日が届出期限です。

   イ 上記(1)のイ又はロのうちいずれか早い日(新設法人にあっては、その設立の日以後2か月を経過      する日)

   ロ 臨時改定事由が生じた日から1か月を経過する日

(3)事前確定届出給与に関する定めを変更する場合
既に上記(1)又は(2)の届出をしている法人が、その届出をした事前確定届出給与に関する定めの内  容を変更する場合において、その変更が次に掲げる事由に基因するものであるときのその変更後の定め の内容に関する届出の届出期限は、次に掲げる事由の区分に応じてそれぞれ次に掲げる日です。

   イ 臨時改定事由                                                           その事由が生じた日から1か月を経過する日

   ロ 業績悪化改定事由(給与の額を減額する場合に限ります。)                              その事由によりその定めの内容の変更に関する株主総会等の決議をした日から1か月を経過する      日(変更前の直前の届出に係る定めに基づく給与の支給の日が1か月を経過する日前にある場合

役員報酬と役員賞与の区分

  報酬とは、役員に対する給与のうち、賞与及び退職給与以外のものをいいます。 賞与とは、名目のいかんを問わず、原則として、臨時的に支給される給与で退職給与以外のものをいいます。これらの給与には、債務の免除による利益その他の経済的な利益も含みます。                           報酬と賞与は、次のように区分されます。

(1) あらかじめ定められた支給基準によって、毎日、毎週、毎月のように、月以下の期間を単位として   規則的に反復又は継続して支給される定期の給与は報酬となります。ただし、これらの給与でも通   常の昇給等以外に、特定の月だけ増額支給された場合は、その給与のうち各月に支給される額を超  える部分は賞与として取り扱われます。

(2) ほかに定期の給与を受けていない非常勤役員に対し、継続して毎年1回又は2回、一定の時期に定  額を支給する規定に基づいて支給されるものは報酬となります。ただし、これが利益に一定の割合  を掛けて算定されることになっている場合は賞与となります。

(3) 固定給のほかに支給される歩合給、能率給などで、使用人に対する支給基準と同じ基準によって  支給されるものは報酬になります。

(4) 定時の株主総会、社員総会などで、役員報酬の支給限度額の増額改訂が決議され、その決議され  た日の属する事業年度開始の日以後に増額が行われることになっている場合は、その増額分として一  括して支給されるものは報酬として取り扱われます。なお、役員に対する報酬であっても、法人が、事   実を隠ぺいし、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する報酬の額は、損金の  額に算入されません。また、次のようなものは過大な役員報酬として損金の額に算入されませんので   注意してください。

  1. 報酬のうち、その役員の職務の内容、その法人の収益及び使用人に対する給与の支給状況、そ   の法人と同種同規模の事業を営む法人の役員に対する報酬などからみて過大と認められる部分

  2. 定款の規定又は株主総会の決議により報酬の支給限度を定めている法人が、その支給限度を        超えて支給した場合のその超える部分。この場合の過大と認められる部分の判定は、法人が、事実を      隠ぺいし、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する報酬の額を除いたところで行わ      れます。

経済的利益の取扱い

 医療法人が役員に支給する給与には、金銭によるもののほか、債務の免除による利益その他の経済的な利益も含まれます。この経済的な利益とは、例えば次のような、医療法人の行った行為が実質的にその役員に対して給与を支給したと同様の経済的効果をもたらすものをいいます。

(1) 資産を贈与した場合におけるその資産の時価

(2) 資産を時価より低額で譲渡した場合における時価と譲渡価額との差額

(3) 債権を放棄し又は免除した場合における債権の放棄額等

(4) 無償又は低額で居住用土地又は家屋の提供をした場合における通常収受すべき賃貸料と実際  に徴収した賃貸料の額との差額

(5) 無利息又は低率で金銭の貸付けをした場合における通常収受すべき利息と実際に徴収した利  息との差額

(6) 役員等を被保険者及び保険金受取人とする生命保険契約の保険料の全部又は一部を負担し   た場合における保険料の負担額

 ただし、法人が役員等に対し経済的な利益の供与をした場合において、それが所得税法上経済的な利益として課税されないものであり、かつ、法人がその役員等に対する給与として経理しなかったものであるときは、給与として扱われません.役員に対する給与の額とされる経済的な利益の額が、役員に対する退職給与に該当するときを除いて、役員に対する経済的な利益の額が毎月おおむね一定している場合には、定期同額給与に該当し、損金の額に算入されますが、その他の場合には、その給与の額は損金の額に算入されません。                                                      医療法人が使用人兼務役員に対して供与した経済的な利益の額(住宅等の貸与をした場合の経済的な利益を除きます。)が他の使用人に対して供与される程度のものである場合には、その経済的な利益の額は使用人としての職務に係るものとされ、損金算入されます。
また、役員に対する経済的利益の額(使用人兼務役員に対する使用人部分を除きます。)が不相当に高額である場合や法人が事実を隠ぺいし又は仮装して経理することにより、その役員に対して供与した経済的な利益の額は損金の額に算入されません。

役員の退職金の損金算入時期

 医療法人が役員に支給する退職金で適正な額のもの、損金の額に算入されます。その退職金の損金算入時期は、原則として、社員総会の決議等によって退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度となります。
ただし、医療法人が退職金を実際に支払った事業年度において、損金経理をした場合は、その支払った事業年度において損金の額に算入することも認められます

(注1) 退職金の額が具体的に確定する事業年度より前の事業年度において、理事会で内定した金額を     損金経理により未払金に計上した場合であっても、未払金に計上した時点での損金の額に算入す    ることはできません。

(注2) 医療法人が退職年金制度を実施している場合に支給する退職年金は、その年金を支給すべき事業    年度が損金算入時期となります。したがって、退職した時に年金の総額を計算して未払金に計上して    も損金の額に算入することができません。

使用人が役員へ昇格したとき又は役員が分掌変更したときの退職金 

  医療法人が退職した役員に対して支給する退職金で、その役員の業務に従事した期間、退職の事情、その法人と同種同規模の法人の役員に対する退職金の支給状況などからみて相当であると認められる金額は、原則として、その退職金の額が確定した事業年度において損金の額に算入します。
また、現実に退職はしていなくても、使用人が役員に昇格した場合又は役員が分掌変更した場合の退職金については、それぞれ次によります。

1   法人の使用人が役員に昇格した場合の退職金

(1) 法人の使用人が役員に昇格した場合において、退職給与規程に基づき、使用人であった期間の  退職金として計算される金額を支給したときは、その支給した事業年度の損金の額に算入されま   す。 ただし、未払金に計上した場合には損金の額に算入されませんので注意してください。

(2)  使用人兼務役員が、副理事長や専務理事など使用人兼務役員とされない役員となった場合において、  使用人兼務役員であった期間の退職金として支給した金額は、たとえ使用人の職務に対する退   職金として計算されているときであっても、その役員に対する退職金以外の給与となります。 ただ     し、その支給が次のいずれにも該当するものについては、その支給した金額は使用人としての退職        金として取り扱われます。

   イ  過去において使用人から使用人兼務役員に昇格した者(使用人であった期間が相当の期間であ            るものに限ります。)であり、その昇格をした時に使用人であった期間に係る退職金の支給をして          いないこと。

   ロ  支給した金額が使用人としての退職給与規程に基づき使用人であった期間及び使用人兼務            役員であった期間を通算して、その使用人としての職務に対する退職金として計算され、かつ、            退職金として相当な金額であると認められること。

(3)  法人が退職給与規程を制定又は改正して、使用人から役員に昇格した人に退職金を支給することと      した場合に、その制定等の時に既に使用人から役員に昇格している人の全員に使用人であった期間の     退職金をその制定の時に支給して損金の額に算入したときは、その支給が次のいずれにも該当す       るものについては、その損金算入が認められます。

   イ  過去において、これらの人に使用人であった期間の退職金の支給をしていないこと。                            この場合、中小企業退職金共済制度又は確定拠出年金制度への移行等により、退職給与規            程を制定又は改正し、使用人に退職金を打切支給した場合でも、その支給に相当の理由があり、          かつ、その後は過去の在職年数を加味しないこととしているときは、過去において、退職金を支給して          いないものとして取扱われます。

   ロ  支給した退職金の額が、その役員が役員となった直前の給与の額を基礎として、その後のベースア        ップの状況等をしんしゃくして計算される退職金の額として相当な金額であること。

2  役員が分掌変更した場合の退職金
例えば、次のように、分掌変更によって役員としての地位や職務の内容が激変して、実質的に退職したと同様の事情にある場合に退職金として支給したものは退職金として取り扱うことができます。ただし、未払金に計上したものは、原則として退職金に含まれません。

(1) 常勤役員が非常勤役員になったこと。
ただし、常勤していなくても代表権があったり、実質的にその法人の経営上主要な地位にある場       合は除かれます。

(2) 理事が監事になったこと。
ただし、監事でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めている場合や、使用人       兼務役員として認められない出資グループに属している場合は除かれます。

(3) 分掌変更の後の役員の給与がおおむね50%以上減少したこと。
ただし、分掌変更の後においても、その法人の経営上主要な地位を占めていると認められる場合         は除かれます。

就 業 規 則

―今、なぜ就業規則なのか― 

  会計処理を含む医療・介護事業経営全般の経営コンサルを行っている当社の業務上、毎日、クライアントの皆様からいろいろな質問(相談)が寄せられます。大別すると新規事業の展開・経営の改善と安定化・事業承継・職員問題等の4相談になります。このうち一番多いのが給与問題を含む職員とのトラブル案件です。「人材は人財です」有能な人材を確保して、安定的に雇用を継続していくことで、経営の継続・拡大に繋げられます。そのためには、平穏で協調性と信頼性のある労使関係の構築が必要になります。それを可能にする手段に就業規則の策定があります。就業規則は、労働時間や賃金等の基本的な労働条件や職場の服務規律を定め、それを文書化した、使用者と労働者との間のルールブックです

―就業規則は自院を守る―

  最近の医療機関は、人材派遣会社や人材紹介会社の林立の影響を受け、有資格者の移動が激しくなり、職種によっては人材不足が慢性化し、有資格職員の確保に苦労させられる状況下に置かれています。以前は、院長をトップにしてピラミッド型の労使関係が、「協調的な状況」で築かれていました。その関係は「家族的な雰囲気」と呼ばれていました。現在は、情報化時代となり、メール・ネット等により、求める情報を簡単に入手できるようになり、職員が、各々自分の勤務先の雇用条件について、他院や友人たちの勤務先と比較し、少しでも条件の良い職場を探して、まるで花から花へと蜜を求めて舞う蝶のごとく、職場を転々とする様子を見受けます。就業規則は、経営者サイドの労務管理のリスク回避を目的で定めるだけのものでなく、自院の実態に合ったルールを定め、それを労使双方が良く理解することにより、労使間の無用なトラブル防止に役立たせたいものです。トラブルの多くは、職員が就業規則を知らない、殆ど理解していない、使用者が就業規則違反を知りながら破る就業規則の内容がその医院に合っていないなどですから、未然に防ぐことは可能です。就業規則には、「自院が公器であること」を、そしてここで働いておれば将来が「明るいものであること」を明示ておく必要があります。従業員がその職場で働き続けることで得られる果実を明確にすることです。このルールを明確にしておけば、働く人たちも安心して業務に打ち込めます。「安心」は、職員の「やる気」を喚起し、職場は活性化し、各々の価値観や、考え方に基づいて勝手な行動する従業員が現れたとしても弾き飛ばされていきます。

就業規則の作成上の注意点―

  就業規則の作成において、作成義務、記載事項、意見徴収、届出、変更方法など、労働基準法でいくつかのルールが定められています。

(1)作成義務 

  労働基準法では常時10名以上いる事業場では就業規則を作成する義務を定めています。

・   常時10名以上とは「状態として10名以上」ということです。極端に言えば「正社員1名  ートタイマ      ー9名でも」合計10名ですので就業規則の作成義務が発生します。

・ 事業場というのは法人全体ではありません。本院9名、分院9名の場合、合計では18名ですが、それぞ       れの事業所では、10名未満ですので、就業規則の作成義務は発生しません。

(2)記載事項

 就業規則には記載しておかなければならない事項があります。A絶対的必要記載事項 B相対的必要記載事項、C任意記載事項 です。

・  A 絶対的必要記載事項

  就業規則に必ず定めなければならない事項として労働基準法 第89条に列挙されたものは、以下のとおりです。もっとも、これらの記載を欠いたとしても、効力発生について他の要件を具備する限り有効です。また、一つの就業規則にすべてを記載する必要はなく、別規則(付属規定)を定めて記載しても差しつかえありません。

① 始業及び終業の時刻、休憩時間休日休暇就業時転換関する事項

② 賃金(決定方法、計算、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項)

③ 退職(解雇の事由含む)

・ B 相対的必要記載事

  その制度を置く場合は就業規則に必ず記載しなければならない事項として第89条に列挙されたものは、以下のとおりです

① 退職手当(対象者の範囲、決定、計算、支払の方法、支払の時期)

② 臨時の賃金(退職手当を除く)、最低賃金

③ 従業員に負担させる食費、作業用品など

④ 安全、衛生

⑤ 職業訓練

⑥ 災害補償、業務外の疾病扶助

⑦ 表彰、制裁

⑧ その他、すべての従業員に適用される事項

・ C 任意記載事項

  上記以外で法人が独自に定める事項

  付属規定

  上記の本則の記載事項と別に「賃金規程」「退職金規定」「育児介護休業規定」などは、本則に「別に定める」と記載して、別途作成した方が便利です。

(3)意見徴収 

  就業規則の作成は、記載事項のルールや法令を守っておれば、法人が自由に作成できます。職員を就業規則の作成に、参加させる必要はありません。そのため、実務上では就業規則の内容を職員に周知させることが非常に重要になっています。職員が就業規則(案)を検討して、意見を述べる機会と時間的な余裕が与えられ、可能な限り職員の意見を尊重することが求められています。また、「意見を聞く」ことの解釈には「同意する」ことまで要求されていません。就業規則は、使用者と労働者の約束事であり、一般労働者の意見を反映することが重要になります。当該事業所の労働者の過半数で組織された労働組合があればその労働組合、ない場合は過半数労働者から選任された代表者が使用者に対して意見を述べることになります。職員代表とは「一般の職員の代表」ですので、法人側から一方的に指名することや、事務長などの役職者を選出できません(事務長には代表を選出する際の投票権はあります)。反対意見により無効とされることはありません。あるいは出た修正意見を規則に反映させる義務は使用者にはありません。意見書への署名を拒否された場合、労働者側に提示し意見を求めたことが客観的にわかれば届出は受理されます。また、届出に対する労働基準監督署長の許可も必要なく、明らかな法令違反でもない限り内容について労働基準監督署から指導されることもありません(昭和23年5月11日基発735号、昭和23年10月30日基発1575号)。

(4)届出

  職員が10人以上の法人で、就業規則を作成し、職員代表の意見を聞いたら、次に所轄する労働基準監督署に届けなければなりません。この届出は事業場ごとに届出を行うのが原則ですので本院・分院・介護事業所がある場合には、それぞれに職員代表を選出し、意見書を作成してそれぞれを所轄する労働基準監督署に届け出ます。

(5)変更

 就業規則は一度作ったらそれで終わりになりません。法改正があったときや、法人内のルールが変わったときには、就業規則の変更を必ずしておく必要があります。また、一部の労働者についてのみ適用される就業規則の作成・変更にあたっても、その事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は全労働者の過半数代表)の意見を聴かなければなりません。

―就業規則を法人のメリットに―

  就業規則を職員が職務遂行に際して、行動規範を定めるマニュアルとしての位置付けと考えたいものです。行動規範をはっきりと定めておくことは、法人の都合で勝手に判断できないというマイナス面も発生しますが、職員にとっては、「何をしてはいけないのか」が明確になることで「この行動規範に従えば安心である」というように、不安感を取り除かれ、能動的に活動できます。就業規則で、法人としての職員対応を明確・明朗にさせることで、職員サイドではどうすれば給料が上がるのか、退職金を確保できるのか、自分の地位が何をすることで昇進していけるのかを予測でき、将来ビジョンを描けます。経営者が信頼できる相手であると認識でき、約束を守ってくれるという安心感が芽生えれば、職場風土は堅固なものになります。社会は古き良き時代の「人間関係重視」から「契約重視」の時代へと変わりつつあります。お互いに契約をルールに従い履行し継続していくことで、職員の業務遂行を、「やらされている」という受動遂行から「積極的にこなす」という能動遂行に変化していけます。

―就業規則を作ってみよう―

  当社に、医療機関用のモデル就業規則平成26年版を用意しています。基本は「医院は誰の物か」を重視して、理事長(院長)を含む職場の皆様が、職制上の地位関係はあっても組織上は平等に明るく活動できる職場を目指す内容をベースにしています。一度ご相談ください。

税 務 調 査

―税務調査とは何か― 

 個人・法人開業を問わず、事業を行っておれば毎年の税務申告を義務付けられています。その申告が正しいかどうかを確認に来るのが税務調査です。保険診療による医療を提供する場合、健康保険法上のルールに従って診療を行い、レセプトを作成するのと同じく、税務申告においても、税法上で定められた規定に法った経理処理による申告を求められています。法人税法・所得税法・消費税法・事業税法等々、各税法が網羅しています。各医院の先生方・医事の担当者はレセプトの作成に当たり、請求間違いのチェックにかなりの時間割いておられますが、それでも、基金や連合会の審査、各保険者の審査で誤りが見つかり、査定等の過誤通知や減点通知書が届いたり、時には返戻があったりします。税務調査も同様で、正しいと思って申告していても、誤りがあれば指摘されます。その確認作業をする為に調査が行われます。簡単に言うと「取る方と取られる方の見解の相違」の指摘です。

―税務調査の流れ―

 各税務署では、納税者の業種によって所管部門(法人税第1部門のように)が決められているようですが、その部門の長を統括官と呼称しています(統括国税調査官の略称)。なお、医療法人は特別調査部門に所管している税務署が過去多くありました。この統括官が調査担当者(上席国税調査官、国税調査官、事務官)に調査を指示します。調査前に、各調査担当者から、関与顧問税理士に電話連絡をして、調査日の日程調整をします。調査に入る前に、調査担当者は「準備調査」といって、申告書の損益計算書及び貸借対照表の科目について前年対比をします。また、売上総利益率(粗利)が変動していないかを見て、調べる項目の絞り込みを行うなっているようです。この対比も、最近では各国税局で申告書をコンピューター処理して対比を行い、前年に比較して異常に増加又は減少した科目にアトリックスマークを付け、所管する税務署に連絡しているようです。「資料せん」にも目を通しています。「資料せん」とは、調査する会社と取引がある会社又は個人から、取引内容及び金額を書いた資料で、調査や法定資料として収集したものです。

―税務調査の頻度― 

 税務調査について、まず、最初に理解しておきたいのが、税務調査が行われる頻度です。税務調査に関する質問に、調査頻度に関する質問を多くいただきますが、何年毎に調査を行うのかの決まりごとはありません。税務調査はいつどれくらいの頻度でやってくるのでしょうか。その答えは各病医院によって全く違うということです。先輩開業医や医師会等で「5年に一回くらいはくるよ」と言った話がよく出ると思いますが、開業3年目で来る時もありますし、10年間来ないケースもあります。では、どのように税務署は税務調査先を決めているのでしょうか。前述しましたように、国税局で申告書をコンピューター処理して前年の申告内容との対比を行い、前年に比較して異常に増加又は減少した科目に、アトリックスマークを付け、このマークが多い納税者をピックアップし、調査対象として、所轄税務署に調査の指示を出します。そのほか、医院(病院)の経営規模、著しい業績の変動や過去の税務調査実績等などの条件により異なってきます。過去に、その税務署管内で診療科別での収入がトップだからという理由で、3年毎に3回連続の調査があった医院もあります。2回目、3回目の後には申告是認通知が届き、それ以後まったく税務調査はありません。税務署の特別調査官が所掌する医療法人では3年おきぐらいに調査がある場合もありますが、その場合でも調査実績が良ければ間隔が伸びてきます。医療事業収入が数千万円以下の零細な医院等ではほとんど調査がありません。国税局所掌の大規模な医療法人では、3年毎の調査が行われていたこともありました。

 ―実際の税務調査の始まり―

 実際の税務調査は、医療機関の事業規模や、申告の内容にもよりますが、2~3日間に渡り、午前10時頃から午後4時過ぎまで行われるのが一般的です。初日の午前中は医院の特徴を聞き、医院のパンフレット、職員組織図、医療法人の出資者名簿等の提出を求めその内容確認を行いながら雑談から始まります。最近は、インターネットのホームページを作成している医院が多いので、これをアウトプットして持参している調査官も多く見受けます。又、世間話をしながら、理事長(院長)の家族構成、出身大学、趣味等を聞きます。税務調査の時間帯と診療時間が重複しているため、ほとんどの医院の調査では、院長や夫人の立ち合いが困難なことから、この世間話には我々が対応しています。この世間話等が重要なキーポイントのようで、理事長(院長)のプライベートの部分(趣味嗜好を確認しているようです。税務署の調査マニュアルにも、初日の概況に重点を置くように書かれていると聞きました。一見親しみやすいように、すぐに帳簿等の調査に入らず、理事長(院長)の家族構成(子弟の進路を含む)、趣味等を聞くことで、後の調査に役立つ情報の収集をしているようです。ベテランの調査官ほど、ここの概況を聞くのに時間を費やしています。また、前述しましたように、既に調査確認事項の項目の絞り込みを行ったうえでの訪問ですから、世間話の中から確認のための情報の収集に努力した会話になることもあります。

  ―世間話で困ること―

 税務調査をスムーズに進行させ、調査時間を短縮するために、私たちは、世間話の時間帯に、その医院の特性や、理事長(院長)の診療に対するポリシーや、経営方針(理念)を可能な限り詳しく、正直な情報を提供するように努力しています。調査官が事前に調査項目を絞り込んできているのと同じく、私たちも「なにゆえの調査か?」の仮説を立てて、求められている情報を早めに開示する努力もしています。ただ、困るのは、医療事業の特性をあまり理解していない、医療業の調査に不慣れな調査官に出会うときで、世間話がとんでもない方向に向かってしまい混乱したり、「大学の医局」「医師会」「人員基準」「診療報酬の査定」「確定調整」等々他の業種にない単語の出てくる会話が通じなく、交際費や諸会費等の経費の説明に時間を費やされることや、「診療科目」の標榜が、近年は細分化されておりその科目の特性が理解してもらえず、内科と循環器内科の収入面での患者単価の差異について、縷々説明を求められ、世間の貴重な時間を消化してしまうこともありました。

―期間損益の確認― 

 午前中の事業の概況調査が終わるといよいよ本番です。最近は必ずと言ってよいほど、最終事業年度の期末の収支の確認調査があります。最終期末に行った、在庫調査の棚卸明細と、薬品卸問屋・検査会社・医療材料の納入業者の請求書とで、単価や在庫数の突合を行います。収入のほうは、診療報酬の性格上必ず2か月後に振り込まれていますから、最終月のみレセプトの請求合計金額から窓口での一部負担金の徴収金額を差し引いた概算額を計上しておれば、ほとんどの医療機関では、あまり問題になりません。病院や、介護事業を行っている医院では、患者の入院費用や、利用料などを病院では一月分を2回に分けての請求や、介護事業では一月分をまとめて翌月半ばに請求していますので、正しく未収計上しているかを確認し説明を求められます。時々問題視されるのが、不慣れな調査官による請求書重視の調査の時です。確定調整の意味が分からず、概算計上した請求金額と支払基金・国保連合会等から翌期に振り込まれた金額とのかい離が大きい場合の値引きの理由説明を求められた時です。当社では医業収入明細を補助資料として作成し、期首時点で前期最終月の確定調整額を計上し、最終月には概算計上額を計上し、期中は確定調整額を加減した収入確定額を計上していますので、その説明で納得してもらっています。また、かい離の説明も行います。

―人件費の調査―

 医院によっては標榜科目の特性上、他の医療機関に比べ人件費率が高い場合調査の対象になることがあります。給与台帳・源泉徴収簿・扶養控除等の申告書・タイムカード(出勤簿)組織図・職種のわかるもの等で確認されます。架空人件費や不正な人件費による経費の水増しの調査にもなっています。

―交際費の調査―

 交際費には資本金額に応じた限度額があるため、交際費の科目に計上しないで、他の経費科目に計上しているものの、交際費ではと疑われるような支出の見直しを行います。また、理事長(院長)の個人的な出費を経費にしていないかの確認もします。知人や親せきの医療を行った時に窓口での負担金を受け取っていない場合、本来であれば療養担当規則上でも、一部負担金は徴収する義務がありますし、税務上では、この窓口負担金を知人から受け取らなかったときは、その一部負担金は交際費として、親せきの場合は理事長の役員報酬として否認される場合もあります。

―税務調査の対策― 

1、 正しい処理であることを証明できる根拠を必ず準備しておくこと

2、 自己本位の経費計上や収入の除外は慎む

3、 他の医院で是認された経費でも自院では否認されることがあることを認識しておくこと

4、 「税法は常識である」 社会通念上異常な行為は、税務調査で否認を受けやすい。

5、 知らなかったでは済まされないことを認識しておくこと

ゴールデンウィーク

―遠出はしない― 

 毎年ながら、このシーズンは9連休・10連休となり、一般企業に勤めるサラリーマン家族は、海外に、あるいは国内の各地に出かけ、結果的には割高な旅行費を支払い、国内では幹線道路の大渋滞に悩まさせられ、各観光地は大混雑になっています。私も十数年前までは例外に漏れることなく、家族で、家内の実家のある九州や、私の故郷の北陸路へと出かけていました。子供たちが社会人になる頃から家族単位の行動から夫婦単位の行動になり、時には単独行動も多くなり、ついにはどこへ行っても人ばかりに飽きて、やがて自宅近くの近場の日頃から気になっている場所に、ふらりと出掛けることがレギュラー行動になりました。昨年は二上山に出かけ新緑を楽しみ、麓のいくつかの桟道を巡って、山麓をほとんど半周しました。

―高取町と土佐街道―

(高取町観光ガイドより抜粋)

 今年は、古街道ウォーキングと称して高取町にある土佐の町と高取城址に出かけました。奈良県高取町にある土佐の町は、高取藩二万五千石の城下町として発達しました。飛鳥時代、都造営のために連れてこられた土佐(現在の高知県)の人々が国に帰ることができず、故郷を懐かしんでつけた地名と伝えられているとのことでした。また、飛鳥時代は、日本の黎明期にあって、中国や朝鮮半島の国々と伍する律令国家建設への胎動が始まった時代でしたので、古代の為政者は、先進技術・文化をもっている外国人(渡来人)を積極的に受け入れ強力な中央集権国家を誕生させました。ボランティアガイドの方から、「高取町は渡来人が闊歩していた古代の国際都市だ。」との説明を受けました。土佐街道の起点となる近鉄吉野線壺阪山駅の近くにある渡来系の本拠地観覚寺遺跡近くには、今、壁画保存で話題になっているキトラ古墳もあります。この土佐の町の南(土佐街道の終点)の高取山に、江戸時代までは壮麗な城郭をもった高取城があり、お城に向かって真っすぐ伸びるメインストリートが土佐街道です。土佐街道にはかつて500軒もの商家や町屋が立ち並んでいたそうで、往時をしのばせる屋並みや、街道の両端に流れる江戸時代の側溝、観光案内所夢創館の裏手にあるに薬の資料館などで、レトロな気分を満喫しました。

―高取町と薬の歴史―

(高取町観光ガイドより抜粋) 

 高取町の薬の歴史は古く、飛鳥時代の西暦612年推古天皇が聖徳太子や伴を率いて、高取の羽田の山野にて薬狩りを行ったと伝えられております。日本の古代宮廷を上げての大行事にくすりがり(薬猟)というものがあったそうで、薬用になる鳥や獣を捕る。あるいは草を摘むことで、くすりがりが行われだしたとの事です。日本書紀によれば、第1回目は推古19年(611年)で「夏の五月五日に菟田野に薬猟す・・・・」とあり、続いて翌20年の第2回目には「夏五月五日に薬猟して羽田(はた)に集いて、相連きて、朝(みかど)に参趣く・・・・」とあるそうです。この第二回目に出てくる「羽田」の場所が、高取町の羽内から市尾あたりであると考えられています。この地は、豊かに自然に恵まれ薬となる動植物類が豊富であり、当時、中国から医薬術や効用を伝え聞くとともに、秘伝の処方との合薬により家伝薬がつくられ、修験者によって大和の薬が、全国に広められたのが、大和売薬の起こりとなったようです。江戸時代に入り高取城植村藩主が、参勤交代の際。他の藩主に薬を贈り全国の販路拡大に貢献したようで、江戸中期頃から奉行の許可を得て置き薬として各地を行商して歩くようになり、この置き薬が現代の配置販売の始まりになっています。明治を迎えると、高取地域の狭い土地に合った薬種業が急速に発展し、くすりを得意先に預け置き、次回訪問の時に使用した分だけ代金を受け取る「先用後売」という独特な商法を用いた行商がおこなわれるようになり、平成の現在にも続いています。

(参考追記)

 菟田野(現在の奈良県宇陀市)も、上記にあるように古くから薬種業の盛んな所で、江戸時代には紀州藩の薬草園がおかれ現在も多くの薬草が栽培されている。また、吉野葛の生産地としても名を知られている。

―日本一の山城高取城―

(高取町観光ガイドより抜粋)

 土佐街道の中間地にある、夢想館での説明(CDを放映)によると、高取城は、高取山(583.9m)に築かれた典型的な山城で、元弘2年(1332年)南北朝時代、南朝方に属した高取の豪族、越智八郎が築城、その後、大和郡山の城主となった豊臣秀長の命を受け、天正13年(1583年)に本多氏が入城し、典型的な織豊時代の石塁様式を持つ城閣に改築した、城内(二の門より内)と郭内(釘打抜門より内)に分けられる。城内は、約10,000㎡、周囲約3km、城郭は60,000㎡、周囲約30kmという広大な城である。築城当時から明治の廃藩置県による廃城までの間は、三層の天守、少天守を擁し、27の櫓(内、多門櫓5)、33の門、土塀2,900m、石垣3,600m、橋梁9、堀切5か所を持つ堂々とした日本一の山城であった。現在、楼閣などことごとく消滅しているが、石塁等は旧規模のまま存在し、本丸・二の丸の約10m余の石垣は昔日の傍観を呈し、更に当初の土掘跡も樹林雑草に隠見する遺構によって察知できる等、ふもとの城下町と共に、明治まで続いた山城としては、日本でほとんど唯一の例で、極めて貴重な遺構となっている。

 参考までに下記の三城が日本三大山城と言われている。高取城が、比高が最も高く、その壮大な規模からも、高取城を「日本一の山城」といわれている所以である。

  城郭名   所在地   海抜    比高      解説

大和高取城  奈良県  583m  390m  比高が一番高い

備中松山城  岡山県  480m  340m  建物が現存する中で最も高い城

美野岩村城  岐阜県  721m  150m  海抜が一番高い

※比高とは麓から本丸までの高低差で、大きいほど一般的に難攻不落と考えられる。

高額療養費と高額介護合算療養費

平成26年4月より、負担能力に応じた負担を求める観点から、低所得者に配慮した上で、高額療養費の自己負担限度額(算定基準額)をきめ細やかに設定する趣旨のもとに改正が行われました。そうした改正内容参考にまとめました。

 

―高額療養費― 

 重い病気などで病院等に長期の入院や、治療が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額となります。そのため家計の負担を軽減できるように、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻しが受けられます。これを高額療養費制度といいます。
ただし、保険外併用療養費の差額部分入院時食事療養費入院時生活療養費の自己負担額は対象外になります。

―高額な医療費を支払ったときは高額療養費で払い戻しが受けられます―

高額療養費とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額自己負担限度額を超えた分が、あとで払い戻される制度です。70歳未満の方で、医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、限度額適用認定証を提示する方法が便利です。

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―払い戻しについて―

払い戻しは、医療機関等から提出される診療報酬明細書(レセプト)の審査を経て行いますので、診療月から3ヵ月以上かかります。払い戻しまで時間を要するため、医療費の支払いに充てる資金として、高額療養費支給見込額の8割相当額を無利子で貸付する「高額医療費貸付制度」もあります。詳しくは協会けんぽ支部までお問い合せください。

―高額療養費の現物給付化(健康保険限度額適用認定証)―

70歳未満の方であっても、平成24年4月より、従来の「入院される方」及び「外来で在宅時医学総合管理料、特定施設入居時等医学総合管理料及び在宅末期医療総合診療料を算定される方」に加え、「外来で療養を受ける方」の高額療養費を現物給付化し、一医療機関ごとの窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめることができるようになりました。この制度を利用するには、事前に全国健康保険協会の各都道府県支部に「健康保険限度額適用認定申請書」を提出し、「健康保険限度額適用認定証」の交付を受け、医療機関の窓口に認定証と被保険者証を提出してください。

―自己負担額は世帯で合算できます(世帯合算)―

世帯で複数の方が同じ月に病気やけがをして医療機関で受診した場合や、お一人が複数の医療機関で受診したり、一つの医療機関で入院と外来で受診した場合は、自己負担額は世帯で合算することができ、その合算した額が自己負担限度額を超えた場合は、超えた額が払い戻されます。

※ここで言う世帯とは、協会けんぼに加入している被保険者とその被扶養者です。

ただし、70歳未満の方の合算できる自己負担額は、21,000円以上のもの(下記の「合算対象のポイント」)に限られます。70歳以上の方は自己負担額をすべて合算できます。

合算対象のポイント

70歳未満の方の場合は、受診者別に次の基準によりそれぞれ算出された自己負担額(1ヵ月)が21,000円以上のものを合算することができます。(70~74歳の方がいる世帯では算定方法が異なります。)
なお、同一世帯で1年間(診療月を含めた直近12か月)に3回以上高額療養費の支給を受けている場合は、4回目からは自己負担限度額が変わります。(多数該当)

自己負担額の基準

  • 医療機関ごとに計算します。同じ医療機関であっても、医科入院、医科外来、歯科入院、歯科外来にわけて計算します。
  • 医療機関から交付された処方せんにより調剤薬局で調剤を受けた場合は、薬局で支払った自己負担額を処方せんを交付した医療機関に含めて計算します。

被保険者、被扶養者ともに同一月内の医療費の自己負担限度額は、年齢及び所得に応じて次の計算式により算出されます。

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―高額介護合算療養費―

 世帯内の同一の医療保険の加入者の方について、毎年8月から1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担額(高額療養費及び高額介護(予防)サービス費の支給を受けることができる場合には、その額を除く。)(※1)を合計し、次の基準額を超えた場合(※2)に、その超えた金額を支給します。

※1 医療保険・介護保険の自己負担額のいずれかが0円である場合は支給しません。また、70歳未満の医療保険の自己負担額は、医療機関別、医科・歯科別、入院・通院別に21,000円以上ある場合に合算の対象となり、入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。※2 その超えた金額が501円以上の場合に限ります。

①  高額介護合算療養費の算定基準額(「介護合算算定基準額」)については、下記のとおり改正改訂されました。また、高額介護合算療養費の計算期間は、前年8月l日から7月31日までとされていますので、今回の高額療養費の改正は計算期間の途中である平成27年1月に行うことを予定されており、平成26年8月1日から平成27年7月31日までの分の介護合算算定基準額については、従前の介護合算算定基準額の12分の5の額と改正後の介護合算算定基準額の12分の7の額を合算した額とする経過措置を設けられました。

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