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人それぞれ人生に夢とロマンを持っています。先生が自分の医院を経営することを人生の目的にされて、開業を決意し、そして、医院経営をどのように目指すべきか、開業場所・開業規模・開業の科目・開業資金など、御自分でもあれこれと考え、既に開業されている先輩や友人、あるいは勤務先等に出入りしている業者の方などにも、何かと御相談されてきたことと思います。
開業後、勤務医を辞め、夢を果たしている事の満足感で、1~3年くらいは開業時のエネルギーが持続して、患者数も収入も伸びていきますが開院後4~5年もすると、増加から横這い状況になり、時には減患・減収になり、その医院がしぼんだ経営状態に陥ることもあります。
又、最初から低空飛行のまま、一向に上昇しない医院では、院長がノイローゼ気味になり、経営を投げやりにして、行政、医師会、患者、ひどいときには職員の責任にして、自分が計画し、実行に移した、開業計画の甘さの反省がないまま、借金まみれに苦しんでいる状態になり、場合によっては廃院の危機に陥ることもあります。
勤務医と開業医の業務遂行において持たされている責任の差に、勤務医は自分に与えられている医療業務遂行に責任を果たせばよく、開業医は医療業務遂行のほかに、自分の医院経営に責任を持たされている事が有ります。経営者には、社会に対しての経営責任も負わされているのです。医院を取り巻く社会情勢の変化に敏感に反応し経営を全うしていく努力が必要です。
目的達成のためには正しい手段とぶれない経営哲学が大事です。正しい手段とは、医院経営は患者に医療サービスを提供するのが目的であることからして、患者に、社会ニーズに合った安全・安心・満足を得られる医療サービスを提供することにあります。
自院の特長と強みを明確にして、地域の患者に他院との比較を容易に理解してもらえるようにする。そのアピールのための、施設・機能・人的サービスの充実を目的とした計画を立てる。開業後は目的に即したインフォームドコンセントの徹底に努力する。
開業後の医院経営の目的がはっきりしていないと、業者任せになり不要な機器の購入や、設備の計画をしてしまい、本当に必要な機器の不足や、設備が不十分になります。
診療時間・標榜科目・レイアウト等、患者から選ばれるだけでなく、患者を選べる医療機関として、先生自身がこれまで学んできた、あるいは経験してきた医学分野の専門性で、地域との調和を図る。その分野においての十分なサービスを提供できる人材(人財)の確保をする。
麺類の店に、お寿司を置いたら中には注文をする人も居るでしょうが、本当に美味しいと思って注文する人は少ないと思います。昔あった大衆食堂が廃れたように、メニューが多いだけでは客(患者)を呼べません。お惣菜の店で蝶ネクタイのウエイターがサービスしてくれても客は落ち着きません。もちろん、このようなサービスに納得、満足する客も居るでしょうけど本流ではないと思います。
医院経営と食堂経営を比較したのは大衆食堂的な医院が多く見受けられ、その医院の専門性や他医院との比較がしにくくなっています。開業医院が少ない地域や、村の診療所的な立地にある医院ではむしろその方が患者にとって便宜を図る事になりますが、都市部においての競合する医院の多いところでは、専門特化型医院造りの計画の方が他の競合医院との棲みわけを可能にして地域に受け入れられやすくなります。
開業を計画中に、果たして患者が来てくれるだろうかの不安で、悩む医師がほとんどですが、地域の医療ニーズを正しく把握して、それにそった開業計画であれば、必ず成功します。業者任せにしたり、既に開業している医院の成功事例の物まねでは、失敗します。開業する地域も違えば開業する先生のキャラクターも違います。
地域ニーズに在宅医療の要求がある地域が多くなっています。在宅医療に取り組む事も開業後の医院経営の立ち上がりを早くします。在宅医療は内科系の医療機関だけにとどまりません。眼科・耳鼻咽喉科・皮膚泌尿器科等の医院であっても、往診の依頼が出ています。国民医療費の高騰状況にあって、介護保険の開始や老人医療費削減のための行政誘導は施設医療費給付から在宅医療費給付へと時代が動いています。開業計画の中に、必ず、時の利・人の利・地の利、を生かすことも大事です。
診診・診病・診福・診自 (地方自治体・介護支援事業者) 等、医療機関相互や他の関係諸団体との連携が開業後の成功に大きく影響します。患者を共有する事による専門分野での協力が、地域における医療機関群を作り上げていく事になります。最近話題になっているセカンドオピニオン制にも対応できます。
わが国の国民医療費内訳を見ると外来診療収入において診療所より病院収入の方が伸びている。診療報酬上での評価や患者の窓口での負担面などで適正な機能分担を促す仕組みづくりを行政誘導的に促しているが、患者の病院指向は進むばかりです。
病診本来の機能分担は 、病院は入院機能を、診療所は外来機能で在るべきなのですがその役割分担が現在うまく機能しておりません。介護保険の導入により、昨今ではますます診療所の潜在患者が介護施設への入所など、医療機関以外の介護サービス施設を利用する事となり今後の患者の動向を見定める必要があります。
診療所の機能として外来機能を充実させていくのであれば、専門分野における来院患者への検査診断機能を確立する事により、ゲートキーパーの役割を果たせる診療所として医療機器の整備をする。その後の治療行為が、自院継続医療が可能かどうかの判断のもとに医療を続行し地域医療に貢献していく必要があります。
慢性期の患者の取り扱いも「物療」の域に終わって、確たる医療行為のないまま患者の通院を促していると、急性の余病の発生や、慢性疾患の進捗により容易に他の医療機関に患者を奪われる事になります。また、診療報酬の改定に伴い患者の窓口での負担額が変更しただけも来院患者数に影響を及ぼします。